研究課題
研究初年度に当たるH20年度は、大きく分けて3つの研究を実施した。1つめは、2007年に南極昭和基地で得られた高分解能FTIRによる大気微量成分鉛直分布の導出。2つ目は、同じく2007年に南極昭和基地で得られた低分解能FTIRによるPSCの特性評価。3つ目は、あらたに北極圏・ノルウェー・スピッツベルゲン島・ニーオルスンにおける低分解能FTIRによるPSC観測の立ち上げと、実際の観測実施である。以下に、それぞれについてその研究実績について述べる。まず高分解能FTIR観測に関しては、2007年3月から2008年1月まで、のべ87日間の観測で得られた太陽赤外分光スペクトルから、オゾン(O3)、硝酸(HNO3)、塩化水素(HCl)、硝酸塩素(ClONO2)等の微量気体成分の気柱全量及び鉛直プロファイルの導出を行った。その結果、これら微量気体成分の季節変化や、春先のオゾンホールに伴う変動を見て取ることが出来た。(408)次に低分解能FTIR観測に関しては、2007年7月〜9月に観測された天頂方向の放射・散乱スペクトルから、いくつかの特徴的なスペクトルを見出すことが出来た。これらはそれぞれタイプの異なるPSCからの情報を含んでいると考えられ、今後その識別を行っていく予定である。最後にノルウェーでの新規PSC観測の立ち上げを行った。観測資材を2008年11月に梱包し、航空機及び船舶によってニーオルスン基地に輸送した。その後、2008年12月から2009年3月にかけて、のべ6名によって低分解能FTIRによる観測を行った。また、エアロゾルゾンデの観測の立ち上げも行った。そのうちの何日かについて、PSCの存在を確認することが出来た。現在、その結果についても解析中である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
J. Atmos. Sci. (印刷中)
Proc. of the First International Symposium on the Arctic Research (ISAR-1), 4-6 November, 2008, Tokyo, Japan
ページ: 58-61