研究課題
ダストの発生過程に関し、地表面のより小さい土壌粒子が降雨後のクラスト形成時に大粒子に凝集することで、直径0.5〜1.0μmサイズのダスト濃度が大きく低下することが明らかとなった.モンゴルで観測を行い、臨界摩擦速度と地表面条件の関係に関する解析を行い、従来の風洞実験結果などとは異なり、臨界摩擦速度の粒径依存性は大きくないことを明らかにした.ダスト粒子の湿性・乾性沈着を分離して捕集する装置を、10月から11月にかけて、北海道大学、富山大学、名古屋大学、鳥取大学、福岡大学、国立環境研究所・辺戸岬大気観測ステーションの6ヶ所に設置した.設置後直ちに1週間毎の定常サンプリングを開始し、2月〜3月にかけての黄砂飛来時には日単位での集中観測も行った.得られた試料の非水溶性物質量を計測し、沈着量の地理的分布と時間変化のデータを蓄積中である.2006、2007年7〜9月のCALIOPデータと領域気象モデルWRFを用いて、タクラマカン砂漠における夏季の熱対流によるダストと気象要素の3次元構造の解明および領域外へのダストフラックス等に関する定量的評価を行った.また、CALIOPのダスト偏光解消度および2波長比の経度・高度別統計解析を行った他、全球ダストモデルCALIOP同化結果の検証用に地上ライダーによるダスト観測結果を提供した.気象研究所全球エアロゾルモデルと気象庁数値予報課開発の4次元局所アンサンブル変換カルマン・フィルタを組み合わせたダストデータ同化システムを開発した.人工衛星搭載ライダーCALIOPデータ(大気の減衰後方散乱係数)をデータ同化することにより、1ヶ月間のダストの解析値およびダスト発生源推定値を作成した.人工衛星によるエアロゾルのライダー観測値をデータ同化する試みに成功したのはこれが世界初であり、現時点において世界で最も詳細かつ高精度なダストの解析値を作製することに成功した.気象研究所の全球エーロゾルモデルMASINGARにこのデータ同化システムを導入したシミュレーションを行い、ダストの時空間分布が著しく改善されることを確認した.また、このデータ同化から得られるダストの発生強度の修正値から、ダストモデルの発生源推定改良のための情報を得ることが可能となった.
すべて 2009 2008 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (17件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Atmospheric Chemistry and Physics Discussions 9
ページ: 5785-5808
GEOPHYSICAL RESEARCH LETTERS 35
ページ: L23801, doi:10.1029/2008GL035630
J. Geophys. Res. 113, doi:10.1029/2008JD009955
ページ: D24212, 1-15
Journal of Geophysical Research 113
ページ: 10.1029/2007JD009410
ページ: 10.1029/2007JD009302
http://www.mri-jma.go.jp/Project/H20keikaku/6-1-2.htm