研究課題
本研究では、ダスト発生に関わるモデルパラメータとして最も重要な臨界摩擦速度を、タクラマカン砂漠の砂礫砂漠とオーストラリアの麦の休耕地という異なる条件下のデータを用いて決定した。その結果、飛砂フラックスを用いて推定した砂礫沙漠上と休耕地上の臨界摩擦速度は、乾燥条件および湿潤条件で両地点とも異なることを明らかにした。また、モデル検証のため、飛砂フラックスとダストフラックスのデータベースを作成した。NASAの人工衛星ライダー搭載CALIOPデータをアジア域について3年分、全球について6ヶ月分を入手し、アジア域でのエーロゾル鉛直構造季節・年々変動、および各高度における全球水平分布を得た。これらから、(1)タクラマカン域で持続的にダストが浮遊していること、(2)サハラから大西洋への流出パターンに季節内変化が見られ、また西アジア域で無視できない量のダストが浮遊していること等を明らかにした。さらに沈着モニタリングネットワークとの対照用に地上ネットワークライダーによる黄砂観測画像・数値データを定常的に作成した。昨年度に引き続き、全国6ヶ所で1週間毎に乾性と湿性沈着とを分離してダスト沈着サンプルを採取した。2009年1月から2010年12月までの年間湿性ダスト沈着量は、札幌:4.1、富山:7.9、名古屋:2.4、鳥取:6.0、福岡:4.4、沖縄・辺戸岬:1.1g/m2yrであり、北陸~山陰地方での沈着量が多いことがわかった。最先端のデータ同化技術である4次元アンサンブル・カルマン・フィルタにモデルバイアスの動的推定スキームを新たに組み込み、それを気象研究所の全球エアロゾルモデルMASINGARと組み合わせることによってダストの客観解析を行なった。その結果、ダスト濃度分布とダスト放出量分布の解析精度が向上し、モデルの改良に必要なバイアス情報も得ることが出来た。また人工衛星搭載ライダーと地上設置ライダーデータを同時にデータ同化する技術を開発し、2007年3-5月のダスト全球客観解析値を作成した。
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