研究課題
研究の目的:申請者らが過去20年余にわたって推進してきた地球生命史の研究を、本申請では『横軸46億年研究』を中心に進める。縦軸は酸素濃度や大陸地殻成長率など20の項目に及ぶ。具体的には、(1)東工大地球史資料館に記載・収蔵されてきた、174トン、16万個余の岩石試料、(2)硫黄、ストロンチウム、酸素、炭素などの同位体分析の充実、及び(3)院生とPDなどの若手研究者を中心とするマンパワーによって推進する。本申請研究では、(1)固体地球、(2)表層環境、及び古生物の3グループに分かれて研究を進める。成果:(1)世界の主要な河川35の川砂ジルコンを使って大陸地殻成長率を見積もった.結果は太古代末期(25億年前)に至っても大陸は現在の大陸の25%程度であった。地殻の成長は、これまでの常識とは逆の結果を導いた。しかし、この結果は世界の地質図からの推定と調和的である。(2)大気と海洋の酸素濃度変化曲線を炭酸塩岩のCeの酸化度から推定した。これを更に、堆積岩の形成量の経年変化46億年、および炭酸塩岩のSr同位体曲線の成果を合成して相互比較して最終曲線を求めた。その結果22億年と5億年に急激な変化を示す曲線が得られた。これは従来の推定とおおむね調和的だが、論争に終止符を打つものである。(3)既存掘削試料(635-499Ma、中国山峡ダム周辺地域)の炭素、酸素、硫黄、Sr、Ca、Nの各同位体、及び、リン、酸素濃度の高時間分解能解析結果がほぼ終了した。その結果、全球凍結解除後の6.35億年からカンブリア紀末(4.88億年前)にかけて、生物界の5段階の不連続的な変化にほぼ同期して、表層環境の変化が起きていた。リン濃度の急増、酸素濃度の変化など表層環境の激変が、カンブリア紀の動物進化に直接的な影響を与えたことが判明した。(4)過去3年間で30以上の論文を国際誌に書いた。
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