研究課題
マントル中の地震学的不連続面に及ぼす水の影響として、特に沈み込むスラブの構成物質であるMORBとHarzburgiteにおいて、その相転移における水の影響を明らかにした。MORBにおいては、水の影響によりgarnet-perovskite相転移境界が著しく低圧側に移動する様子が見られた。また、Harzburgiteにおいても相転移境界の変化や鉱物組み合わせの変化が見出されてきている。マントル鉱物間の水の分配については、ガーネットを含めた水の分配を下部マントル上部に相当する条件下まで明らかにした。それらのデータを整理し、全マントルでの水の分配の様子を構築した。水に富んだ高圧流体相の振る舞いは、高圧下で生成されるマグマの含水量を制約し、その圧力変化を下部マントル上部における条件下まで予備的ではあるが解明した。さらに、放射光X線その場観察法により、これらの流体相・マグマの構造に関する研究を行った。またアメリカシカゴの放射光施設APSに出向き、パリエジンバラプレスを利用した高圧マグマの構造解析の研究を可能にすべくその立ち上げ状況から着手し、その測定に弾性波速度測定とマイクロトモグラフィーによる高圧下での正確な体積測定(密度測定)を組み合わせるべく、その試みも行った。これらに加えて、蛇紋石等のスラブで安定な含水鉱物に焦点を絞り、含水鉱物の脱水分解反応に伴う鉱物生成のカイネティクスや組織観察の研究を遂行した。さらに、これらの鉱物の状態方程式を明らかにする研究も遂行した。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた研究は遂行してきており、その中で面白い結果が出て来てさらに新しい展開に向かっている研究も出て来ている。
鉱物間の水の分配にはAlがかなり重要な役割を果たしてきていることが明らかになりつつあり、この点をさらに深く探求していく。また、スラブを構成する可能性がある高圧含水鉱物の熱弾性的データが乏しいため、その状態方程式を明らかにしていく。
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