研究概要 |
高圧及び超高圧変成岩類は海洋プレートの沈み込み帯深部で形成され,海嶺の沈み込みに関連して上昇する.本研究では変成岩類の沈み込み及び上昇冷却過程を明らかにするための基礎的な研究を実施し,高圧及び超高圧変成岩類の高精度高確度アルゴン年代学を確立することを主目的とする.また,変成岩の累進変成作用時期から後退変成作用までの時間的推移を定量的に求め,変成帯のテクトニクスを明らかにする. 南インドPalghat-Cauvery剪断帯から発見されたエクロジャイト(2009年3月論文発表)産出岩体の調査と含ザクロ石塩基性岩を採集した.また,ニュージーランド南島Haast-Alpine片岩帯から含ザクロ石岩を採集した.前者は超高圧変成岩を想定しての調査である.採集試料については研磨薄片を作成し,顕微鏡観察による岩石記載を実施した.特に,ザクロ石に包有されているフェンジャイトに注目して薄片を観察した.フェンジャイトを包有するザクロ石と顕著な累帯構造を示す角閃石についてはEMPによる組成像を取った. 本研究で最も主要な設備品としてUVレーザーアブレーションシステム,エンコーダーシステム,低ブランク希ガス抽出系特殊真空部品を昨年度購入した.これらを専用希ガス質量分析計に導入することを決定し,以前に貰い受けていたVG5400質量分析計の立ち上げを行った.電気系統の接続及び真空ラインの組み立てを実施した.幾つかの問題点などが見つかり,新たに真空部品を購入した. 顕微鏡写真による組成累帯構造イメージやEMPによるカラーマップイメージをコンピューター画面で見ながら5ミクロンサイズのビームを目的とする分析位置に照射する装置開発を継続して実施した. 既存の装置を使った研究では7編の論文を発表した.東チベットのバロー型変成帯から広域な過剰アルゴン波の発生について世界で初めて提案した点が強調される.
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