研究概要 |
本研究の目的は高速の電磁パルスや重イオンビームを用いて高エネルギー密度プラズマを形成し,半実験的・逆解析手法によって極限状態のプラズマの状態方程式や輸送係数を明らかにすることである。 高エネルギー密度状態の物質の状態方程式や輸送係数の定式化およびそれらのデータベースは,巨大惑星の内部構造や慣性核融合プラズマを理解する上で非常に重要であるにもかかわらず,公開されているデータは限られている上に誤差が大きい。また,輻射輸送が重要な働きをする高温プラズマの物理は,高輝度短波長プラズマ光源や宇宙プラズマの研究に重要であるにもかかわらず,受動的な観測とad hocな計算式が主要な解析手段になっている。実験室で高エネルギー密度状態を形成する手段として,従来は超高出力密度を実現できる大型のレーザー施設が用いられてきたが,パルスパワー装置や高強度のイオンビームをドライバーとして用いると,大体積で均一性と対称性に優れた試料を形成することができる。 本研究は,パルスパワー駆動の水中細線放電や高速キャピラリー放電を用いて良く定義された(対称性と均一性に優れた)高エネルギー密度プラズマ試料を作成し,輸送係数,状態方程式、および輻射輸送係数に関する信頼性の高いデータを収集することを目的としている。また,ハイパワーのイオンビームを形成するために不可欠な高密度イオンビームのバンチング(ビームパルスの縦圧縮)に伴う物理を実験的に明らかにすることを目指す。
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