研究概要 |
本研究は,高出力の電磁パルス発生装置やイオン加速器を用いて一様で良く定義された高エネルギー密度のエネルギー付与を行い,固体密度付近で数千度(WDM : Warm Dense Matterと呼ばれる状態)の物質の相変化や強い衝撃波を伴う高速プラズマ流の挙動を解明することを目的とした。WDM内の輸送係数や状態方程式を議論するために小型の高速電磁パルス入力装置を製作,同軸で均一な高密度プラズマを形成し,導電率や比熱の密度・温度依存性を調べた。その結果,導電率は固体密度の数十分の一と数千度の状態で最小値を持つこと,最小値は温度の上昇に伴って消失すること,そのような特性は物質に依存しないことなどを明らかにした。電磁エネルギーの入力を制御することによって一次元的な高速・高密度(高エネルギー密度)のプラズマ流を形成し,強いプラズマ衝撃波の構造や輻射輸送の影響を議論した。また,電圧重畳型誘導加速モジュレータを用いる粒子ビーム変調装置を製作してイオン加速器の高出力化に不可欠なビーム・バンチングに伴うエネルギー散逸過程を検討した。
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