研究概要 |
星間塵微粒子表面を覆っている水氷の光分解からホットな水素原子、酸素原子、水酸基ラジカルが氷内部と最表面上に生成する。これらが相互に、または氷と反応した結果、振動励起した水素分子、酸素分子、水分子が、それぞれ再結合反応・引き抜き反応から生成する。とくに励起水素分子の振動・回転・並進状態は、その反応ダイナミックスに依存する。振動量子数高い分子の生成を実験的に確認し生成機構を調べた。具体的には、光脱離するH_2, O_2, OH, H_2Oの振動・回転・併進温度を計測した。また、理論的に分子動力学・量子化学計算を実施した。このような励起分子の生成を数多く示すことで、極低温空間における新しい光化学反応を提案した。 さらに、星間塵の表面をカバーしている氷はCO2や含窒素無機物を含んでいるので、これらの実験をこころみた。 同時に分担者である藪下助教が、高感度なキャビティーリングダウン分光法で超長光路を有する光吸収分光法を用いた。反応系は水と空気の界面に偏析するハロゲンイオン種とオゾンが実際に界面(表面)で反応するかどうかを検証した。水溶液の表面に大きなサイズのイオンが現れ、バルク濃度より高くなり表面反応が促進されることを気相生成物の濃度変化から判定した。これは、大気環境化学にとって新しい反応経路を提案できた。 また、環境に関する学校教育への貢献として小・中学校の教員とともに学校現場での活動を積極的におこなった。
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