研究課題/領域番号 |
20245013
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西原 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70156090)
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研究分担者 |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (20342636)
久米 晶子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (30431894)
坂本 良太 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (80453843)
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キーワード | 多重物性 / 機能分子 / フォトクロミズム / 電子輸送 / レドックス |
研究概要 |
昨年度に引き続き、多重モードで構造・物性の可逆変換を起こす金属錯体、ナノ粒子およびこれらの集合系の創製を行った。ドナー-キノン複合系について、ドナーサイトとしてトリアリールアミンおよび白金ジチオレン錯体を用いた場合に、プロトン添加による環化反応と、これに起因する原子価互変異性と特異なスピン状態の発現を明らかにした。ドナー-ジエチニルエテン共役複合系においては、ドナーとしてN-フェニルカルバゾールを連結した際に、ジエチニルエテン部位の光異性化量子収率の改善(ドナーとしてトリアリールアミンを有する系の約12倍)を見出した。 メタラジチオレンクラスター系については、主としてπ共役3核錯体について追究を行った。その結果、9族から8,10族への中心金属種の拡張が可能であること、これらの新規三核錯体が核間に強い電子相互作用を発現することを明らかとした。更には、中心のベンゼンをトリフェニレンに置換した新規3核錯体の開発を行った。 外場応答性分子ネットワークの構築へのステップとして、ITO上にジメチルジヒドロピレン(DHP)の単分子膜(SAM)をITO上に作製した。その結果、DHPがSAM中においても光・熱的異性化と、可逆なレドックス応答を示すことを明らかとした。 その他、本研究の目的に関連する研究成果として、簡便なナノ粒子の作製法、錯体分子ワイヤ内の電子移動に対する、電極-分子ジャンクションの大きな影響力の定量、発光性シロール・ゲルモールの簡便な合成法、などを見出した。 加えて、トリアリルアミンと複合化させたペックマン色素の合成に成功し、ペックマンの報告以来130年目にして未発見だった3種類目の構造異性体を合成した。また、ジアリルエテンをシリコン基板表面に固定化し、基板上で光異性化によりコンダクタンスのON/OFFを行うことに成功した。
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