研究概要 |
細胞やナノ粒子などの微少量試料内の微量元素の超高感度分析を目的として, マイクロプラズマ分析装置の開発を行っている。平成20年度は, 超高出力パルスマイクロプラズマ源の開発を行った。その結果, 独自方式のパルス電源を開発することにより, 従来の1,000倍以上となる40kWまでの超高出力化に成功した。そして, 発光強度では1,600倍の出力を達成した。さらに, この高出力化に伴い, 従来のアルゴンとヘリウムに加えて, 酸素, 窒素, ネオン, 空気, 二酸化炭素などのガスでも安定にプラズかを生成する事に成功した。また, 超音波ネブライザと組み合わせることにより, 世界で初めてマイクロプラズマによる溶液試料の分析に成功した。この装置を用いて, フッ素, 塩素, 臭素のハロゲン元素およびナトリウムの発光分光分析を実施した。 さらに, 微少量試料の分析のため, 微小な液滴をプラズマ中に射出できるドロプレットネブライザを開発した。射出ノズル径, バルブ開時間と背圧を調整する事により, ドロプレットの体積と射出速度を精密に制御できる事を確認した。現在のところ, 安定に射出可能なドロプレット体積は700ピコリットルとなっている。これらの研究成果により, 日本分析化学会第57年会若手ポスター賞, 2008 Department of Energy Sciences Presentation Award, 2008 Third Asia-Pacific Winter Conference on Plasma Spectrochemistry Poster Award を受賞した。
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