研究課題/領域番号 |
20245020
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 主任研究員 (10165657)
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研究分担者 |
宝田 徹 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 専任研究員 (30336010)
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キーワード | バイオ関連機器 / 核酸 / 高分子合成 / アフィニティー分離 / 電気泳動 |
研究概要 |
本研究は、一塩基変異部位を含む小領域に相補的なオリゴDNAと、無電荷の水溶性高分子からなるブロックコポリマー(DNAコンジュゲート)をキャピラリー電気泳動のアフィニティープローブに用いることにより、正常型および一塩基変異型DNAの分離・定量法を開発することを目的としている。最終年度では以下の2項目について結論を得た。 1.アフィニティーキャピラリーゾーン電気泳動法の開発(昨年度から継続) 今年度は、一塩基変異型と正常型にそれぞれ相補し、かつポリエチレングリコール(PEG)分子量が異なる2種類のDNAコンジュゲートを併用すると、正常体と変異体から夾雑物が完全に分離されることを実証した。これにより、正常体と変異体の存在比率をピーク面積比から簡便かつ正確に決定できることが分かった。特に、正常体と変異体の仕込み比率と実測された比率の差は、これまでに報告された手法のなかで最小であった。本法の遺伝子精密分析法としての実用化が期待できる。さらに、DNA塩基配列とPEG分子量が異なる4種類のプローブを併用すると、サンプル混合物から4種類の標的DNAを分離抽出できた。近年、がんに相関した異常な発現が明らかにされている、血中のmiRNAの同時多検体検出への応用が期待できる。 2.ペプチド核酸(PNA)とPEGからなるブロックコポリマーの設計と合成(昨年度から継続) これまでに、PNAとPEGのブロックコポリマーが、フォールディングしてヘアピン構造をとるサンプルDNAの一塩基変異体分離に有効であることを示してきた。今年度は、ヘアピン構造の熱力学的安定性と分離度の関係を詳細に調べた。その結果、ヘアピン構造におけるステム部分(分子内二重鎖形成部分)が5塩基対でも、PNA部位がステム部位に侵入してアフィニティー相互作用をすることを明らかにした。これにより、本法の分析対象とする一本鎖DNAの2次構造についての制限が実質的に取り除けることが示唆された。
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