遺伝子のわずか一塩基の変異によって、細胞のがん化や、病原菌の薬剤耐性化がおこることが知られている。これまでに様々な原理に基づいた、一塩基変異体の検出法が報告されている。しかし、未知の比率で混ざっている正常遺伝子と一塩基変異遺伝子を明瞭に識別して、その比を簡便に求める方法はまだ確立されていない。本研究では、一塩基変異部位と相補的な10塩基程度のDNAと水溶性で無電荷の合成高分子の複合化材料(DNAコンジュゲート)をキャピラリー電気泳動のアフィニティープローブに使うことを着想し、一塩基変異遺伝子の精密定量法の開発を試みている。また、本法が広く活用されるように、その学術的基盤の確立を目指している。 具体的な研究計画は以下のとおりである。 (1)特定の分子量をもち、分子量分布の揃ったDNAコンジュゲートを合成する。 (2)アフィニティー分離のメカニズムを解明し、分離が達成される条件を決定する。 (3)アフィニティープローブの使用方法を工夫し、様々なアフィニティー分離法を開発する。 (4)簡易型の電気泳動装置を開発して実用化を目指す(企業との共同研究)。
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