研究課題/領域番号 |
20245021
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺田 眞浩 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50217428)
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研究分担者 |
中村 達 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00333899)
椴山 儀恵 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (80447127)
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キーワード | 触媒 / 分子変換 / 不斉合成 / 環境調和 / 水素結合 / 分子認識 / 不斉触媒 / 有機分子触媒 |
研究概要 |
申請者らはすでに光学活性ビナフトールより誘導される環状の不斉リン酸をBronsted酸触媒として用いることによりイミンの活性化を経る炭素-炭素結合の不斉触媒化に成功している。一方、不斉Bronsted塩基触媒として、グアニジンに軸不斉を導入した新規軸不斉グアニジン塩基を設計開発し、炭素-炭素結合ならびに炭素-ヘテロ元素結合生成反応の不斉触媒化に成功している。これらキラルリン酸ならびにキラルグアニジン塩基触媒の適用範囲を拡充するとともに、新たな酸ならびに塩基に由来する不斉触媒の設計開発を目的とし、平成23年度は以下のように、不斉リン酸触媒反応に焦点を絞り検討した。 不斉リン酸触媒の反応では、これまで、イミンの活性化を中心に検討を進めてきたが、不斉リン酸触媒が本来、Bronsted酸触媒であることに着目し、電子豊富二重結合の活性化ならびに安定カチオン種の生成に基づく分子変換を中心に検討を進めた。まず、電子豊富二重結合の活性化については、平成21年度にすでに、ビニルエーテルの活性化において、研究成果を挙げていたが、23年度は、電子豊富多二重結合としてビニロガスエナミンを部分構造に有するビニルインドールを反応基質として検討した。その結果、不斉リン酸触媒存在下、アズラクトンをプロ求核剤とすることで、付加生成物を高いジアステレオならびにエナンチオ選択性で得ることに成功した。得られる生成物は天然アミノ酸の一つであるトリプトファンの誘導体となり、合成的な有用性も示した。一方、安定カチオンの生成に基づく分子変換では、不斉リン酸触媒によりベンゾピリリウム活性中間体を発生させ、このカチオン性活性中間体を不斉還元することで、高いエナンチオ選択性でフラボノイド誘導体の不斉合成に成功した。
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