我々は2つの固体表面間のナノ空間に閉じ込められた液体の構造・ナノレオロジー・ナノトライボロジー特性を分子レベルで研究するための新しい評価法として、我々は共振ずり測定法を開発してきた。本研究では、開発した装置に電場印加機構の組み込み、X線回折測定のための改良などの計測法の高度化を図るとともに、共振ずり測定に使用可能な平滑で均一な金属表面の調製法を確立し、微細空間の束縛液体の分子科学ならびに現実系の分子の配向・構造制御・ナノレオロジー・トライボロジー制御の基礎を形づくることを目標としている。 平成22年度の主な成果を以下に示す。 平成21年度に引き続き、広範な金属表面を用いた測定へと展開するため、スパッタ成膜装置に基板加熱機構を導入し、種々の金属について、より平滑な表面を調製するための条件検討を行い、ナノメートルレベルで平滑な鉄、アルミニウムの表面の調製が可能となった。これら調製した金属表面への界面活性剤の吸着、潤滑特性などの評価を行った。また、石英表面間に閉じ込められた水の構造化挙動と潤滑特性を評価し、また、石英表面の水蒸気プラズマにより表面シラノール基の密度を制御し、水の構造化・潤滑特性との相関を調べた。 X線回折測定のために設計・製作した表面力装置を用いて、SPring8のビームラインBL40B2において雲母表面間に閉じ込められたイオン液体のX線回折測定を行い、厚さ500nmのイオン液体薄膜からの回折パターンを測定することができた。今後、さらにナノメートルレベルの厚みでの測定を進める。
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