研究課題
本研究ではラセン型の擬大環状構造などの有機-無機ハイブリッド超分子の生成による構造変換や複数の分子間相互作用を協同的に利用して、ホスト分子の構造を柔構造(自由度の高い構造)から剛構造(自由度の規制された構造)へと変換することで、協同的な機能が必要に応じて発現する集積機能型超分子の構築を目的としており、この実現に向けて基礎的な知見を得るための検討を以下に示した分子系を設計・合成して行った。一つの末端に2,2'-ビピリジンが導入された三本のペプチド鎖からなるトリポダンドを合成し、これがカチオンとアニオンを同時に認識することを明らかにした。アニオン認識の観点からすれば、カチオンの存在下で、アニオンに対する会合力が非常に大きく向上する協同効果が発現することがわかった。NMRによる詳細な検討を行い、その会合様式を明らかにした。この結果を踏まえ、現在エキソ認識が期待される有機分子をゲストに用いた予備的検討および、異なるペプチド鎖をもつホストについても合成を開始したところである。またテルフェニルあるいはその類縁体を配位部位に持ち、分子の他端にはピリジンを有する分子を合成し、これと白金(II)との錯形成による二分子会合によって高収率で矩形のホストが生成することを見いだした。この空孔は電子不足になっており、電子豊富な芳香環を選択的に取り込むことがわかった。この基本骨核をさらに化学修飾することでカテコールアミンのセンシングにも利用しうるメタロホストの合成に向けて検討を行っている。その他、ジピリン骨核を利用した協同的な錯形成による分子集積や金属の集積化による発光などの光機能の制御についての基礎的検討も順調に進んでおり、次年度でさらなる高機能化について検討が行える状況である。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (67件)
Phosphorus Sulfur Silicon Relat. Elem. (in press)
Ikeda, C.; Ueda, S.; Nabeshima, T.Nabeshima, T. (in press)
Chem. Commun. (in press)
Inorg. Chem. 47
ページ: 3255-3264
Org. Lett. 10
ページ: 4601-4604
Chem. Rec.
ページ: 4604-4606
Chem. Rec. 8
ページ: 240-251
IOP Conf. Ser.: Mater. Sci. Eng. 1
ページ: Article No 012009