研究概要 |
これまでの研究により、β-1,3-グルカン類(シゾフィラン・カードラン)との相互作用による複合体形成が確認されたものは核酸、単層型カーボンナノチューブ、導電性高分子、重合性モノマー、金属コロイド及び色素分子と非常に幅広く、β-1,3-グルカン類が優れた1次元ホストであることが示された。これまでの研究はβ-1,3-グルカン類の一次元ホスト性を利用したゲスト分子の包接であり、ナノ材料創製を目指した複合体のさらなる機能化には,高次な組織化と階層化のプロセスが必要である。そこで次なる試みとして、本研究ではこれら1次元性のβ-1,3-グルカン類複合体を高次な階層構造へと発展させ、階層制御の限界への挑戦と高機能材料創出の両面から取り組んでいる。 ホウ酸やボロン酸誘導体による糖との可逆的な共有結合形成を利用して、シゾフィランで包接したカーボンナノチューブを互いに架橋・連結させることで、カーボンナノチューブが規則的に配列した構造を構築することに成功した。さらに、プラス電荷やマイナス電荷をもつカードラン誘導体で包接した単層カーボンナノチューブと二層カーボンナノチューブを調製した。それらを用いたシリカ粒子上でのLayer-by-Layer法によって、単層と二層カーボンナノチューブの交互積層を行い、カーボンナノチューブ薄膜を形成させた。さらに、フッ化水素によってシリカ粒子を除去することで、カーボンナノチューブから成る中空カプセルを創製することに成功した。
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