研究課題/領域番号 |
20246005
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小林 光 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (90195800)
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研究分担者 |
松本 健俊 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20390643)
山口 俊郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (40167698)
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キーワード | SiC / SiO_2 / 硝酸酸化 / 低温酸化 / ナノ細孔 / 欠陥制御 / 界面制御 / MOS |
研究概要 |
SiCはSiに比較して化学的に非常に安定であり、その熱酸化には1100℃程度の高温を要する。本年度は、1) 気体硝酸酸化法による極薄SiC/SiO_2構造の低温創製、2) 二段階硝酸酸化法による比較的厚いSiO_2/SiC構造の低温創製、3) CN-イオンを用いるSiCの欠陥消滅型洗浄法の開発を行った。 1) 気体硝酸酸化法による極薄SiC/SiO_2構造の低温創製 本年度は、気体硝酸酸化法を用いて500℃の低温で4H-SiC(0001)ウェーハを酸化した。500℃で4時間酸化した後、X線光電子スペクトル(XPS)を観測した結果、si 2p領域に基板SiCによるピークとSiO_2膜によるピークが観測された。これらのピークの面積強度比からSiO_2膜の膜厚を求めた結果、SiCのSi面上には1.1nm、C面上には1.5nmのSiO_2膜が形成されていることがわかった。熱酸化と同様気体硝酸酸化でも、C面の方が酸化されやすいが、その差は熱酸化に比較して小さいことがわかった。 2) 二段階硝酸酸化法による比較的厚いSiO_2/SiC構造の低温創製 濃度68%の硝酸溶液を用いる二段階硝酸酸化法を用いてSiCを120℃の低温で酸化して、SiO_2/SiC構造を創製した。3時間硝酸酸化を行った場合、SiCウェーハのC面上には5.1nmのSiO_2膜が、Si面上には1.7nmのSiO_2膜が形成された。液相の硝酸を用いた酸化では、Si面に比較してC面の方が著しく大きな酸化速度を持つことがわかった。 3) CN-イオンを用いるSiCの欠陥消滅型洗浄法の開発 HCN水溶液を用いてSiC上の金属汚染の除去を行った。従来のRCA洗浄法と比較してHCN溶液による洗浄は大きな洗浄能力を有し、さらにRCA洗浄と組み合わせることによってCu、Niなどの金属汚染を10^9atoms/cm^2オーダー以下に完全に除去できることがわかった。
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