本研究では、従来のa-Si薄膜のレーザー結晶化と全く異なる取り組みとして、基板を一次元、および三次元に展開した。すなわち、「非二次元Si基板」として一次元ファイバーSi基板および三次元積層Si基板を用いることを提案した。従来の二次元平面基板と異なるこれらの基板の形状および構造がレーザー結晶化時の光照射および熱伝導に与える効果を利用し、poly-Siの大粒径化につながる新しい結晶化機構の解明を行った。同時に、これらの基板の形状および構造を活用した新たなプロセス技術、デバイス構造の可能性を検討した。 本研究では、非二次元Si基板上のレーザー結晶化poly-Si薄膜をTFTに応用するために、まずXeClエキシマレーザー(λ=308nm)により結晶化したpoly-Si基板を用いて低温poly-Si TFT作製のプロセス開発を行った。さらに、一次元ファイバーSi基板を用いたレーザー結晶化とそのTFT作製を行った。角柱石英ファイバーを用い、それを溝基板に埋め込むなどの工夫によりファイバープロセスの確立を行った。ファイバー上a-Si薄膜のレーザー結晶化を行ったところ、平面基板を用いたものと比較して結晶性の向上を確認し、レーザー結晶化におけるファイバー基板の優位性を実証した。このpoly-Siを用いてファイバー上にTFTを作製し、ファイバー上で初のスイッチング動作を確認した。
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