研究課題/領域番号 |
20246012
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (10188790)
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研究分担者 |
村田 英幸 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (10345663)
笹原 亮 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (40321905)
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キーワード | 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / 相互作用力 / ナノコンタクト / 結合力 / コンダクタンス / トンネル障壁 |
研究概要 |
本研究の目的は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を基に独自開発した電圧印加非接触原子間力顕微鏡/分光法(Bias nc-AFM/S)を発展させること、探針-試料間の相互作用引力・電流・エネルギー散逸・障壁の印加電圧に対する変化を同時計測すること、それによって探針と試料を接近させたときの試料表面上の原子・分子と探針先端原子の結合形成の過程、および、その電子状態変化を明らかにすることである。 本年度は、加熱Wフィラメントで発生させた原子状水素(H)を、超高真空中で清浄化したSi(111)7x7表面にわずかに吸着させて試料とした。Hはsi(111)7x7表面のダングリングボンドを持つSi吸着原子、Siレスト原子に吸着することが知られている。また、理論計算等によってSiレスト原子にHが吸着すると隣接するSi吸着原子の電子状態密度が増加することが知られている。この表面をBias nc-AFMで印加電圧を変化させながらトポ像と電流像を同時に観察した。その結果、Hが吸着したSi吸着原子とSi探針の間に働く結合力は弱くなり、電流も減少した。一方、隣接したSiレスト原子にHが吸着した場合、Si吸着原子とSi探針の間に働く結合力は強くなり、電流も増加した。この結果は、Si-Si原子間の共有結合力は電子のトンネル遷移過程と同様、局所電子状態密度に強く依存することを示唆する。また、Hを大量に照射すると、Si(111)が特異面でエッチングされることも調べた。同時に、Si探針も側面や特定の稜に沿ってエッチングが進むことをSEM観察で確認した。これらの特性を利用したその場観察・加工を実現できる可能性がある。さらに、Tio_2(110)に吸着したSio_2、Li、炭酸プロピレン、N3分子を吸着させ、その吸着構造と電子状態を解析した。本手法の有効性を示しつつ、本手法の高機能化を進めた。
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