研究課題/領域番号 |
20246015
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高井 義造 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30236179)
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研究分担者 |
木村 吉秀 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (70221215)
永富 隆清 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90314369)
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キーワード | 高分解能電子顕微鏡 / 動的ホローコーン照明 / 波動場再構成 / 球面収差 / 色収差 / コマ収差 / 色消し結像条件 / 3次元フーリエフィルタリング法 |
研究概要 |
本研究は、電子顕微鏡の2種類の照明系偏向コイルをコンピュータ制御することで高精度な動的ホローコーン照明を行い、色消し結像条件を利用した球面収差と色収差の同時補正を実現して、軸上照明法における情報限界を超えた空間分解能で位相像・振幅像の分離再生を達成することを目的としている。昨年度までに、(1)統合型制御動的ホローコーン照明システムを完成させ、(2)球面収差と色収差の同時補正効果を確認し、(3)試料ドリフト補正を考慮した波動場再構成プログラムを開発して、(4)コマ収差量と3回非点収差量の同時計測補正機能を統合型システムに組み込んだ。 本年度は、上記の機能拡張された統合型システムを用いて、各種補正効果の実証ならびに超高分解能達成の実証と同システムを用いた応用研究を中心に展開した。その結果、当初の目的であった球面収差と色収差の同時補正効果により1.5倍の分解能向上が達成されていることを複数種類のサンプルで確認し、グラフェン単原子層の1個1個の炭素原子の配列を解像することに成功した。また球面収差と色収差に加えてコマ収差と3回非点収差の同時補正を実現して、、シリコン結晶のダンベル原子対の配列を解像することに成功し、格子欠陥を含む結晶の原子配列をより正確に解像できることを実証した。これらの結果は各種収差補正の重要性を示すものであり、現在論文を3件執筆中である。また、同システムを用いた応用研究として、コバルト触媒粒子からグラフェンシートが形成される様子を原子分解能で動的にその場観察することに成功した(1件論文受理、2編目を執筆中)。また、酸化モリブデンのカーボンナノチューブへの内包現象を新たに発見し(特許申請済み)、内包結晶の結晶構造を収差補正された原子分解能像から決定することに成功した。(論文執筆中)
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