研究概要 |
樹脂の粉末焼結積層造形はラピッドマニュファクチャリングなど産業的可能性が高いにも関わらず,得られている知見は非常に少ない.そにで本研究では,本加工法の微細性の向上に資するために1.造形条件が微細性に与える影響,2.粉末の特性・構成か微細性に与える影響,3.アプリケーションに関する研究の3つの知見を得ることを目的とする. 平成21~22年度は,様々なパラメータを変化させて,微細性にどのような影響を与えるかを評価した.粉末にレーザが照射されると,レーザが照射されていない領域(1/e2半径の外)の粉末も加熱され,意図していない領域にも焼結物(余剰焼結物)が生じる.余剰焼結の主たる要因は,レーザが粉末に照射されたときの散乱光や透過光による加熱,照射レーザで直接加熱された粉末からの輻射および熱伝導による周辺粉末の加熱などが挙げられる.余剰焼結の大きさは面積あたり供給するエネルギの大きさが大きくなるにつれて大きくなった.従来の結果から,レーザのスキャン間隔を小さくすることで余剰焼結量が小さくなることが期待されていたが,スキャン間隔の余剰焼結量に与える影響は有意では無かった.また,ビーム径を変更した場合ビーム径で規格化した余剰焼結量は,実ビーム径を変えてもほぼ一定で有ることがわかった.粉末焼結積層造形では,造形した部品の形状や大きさによって強度が大きく変化する.一方,微細構造体の強度を測る手段も規格もない.そこで,充填率と強度との間の関係をもとめ,充填率を強度の代表値としたところ,0.6mm程度の薄壁が引き張り強度(UTS)30MPaで得られることが分かった.
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