研究概要 |
これまでに筆者らが試作したプロトタイプの装置を適用して基本的加工特性を把握し、試作装置「両面同時加工方式の"光触媒反応/電気化学的作用を援用した加工環境コントロール型CMP装置"」の骨格決定と詳細設計のための検討を行った。試作した装置は,密閉容器内部を様々なガス種・ガス圧に制御して,加工部の雰囲気による付加効果を用いることで加工の高能率化・高品位化を図ろうとするもので,最終目標は,加工雰囲気を制御しながら難加工性の結晶材料(SiC,サファイア,GaNなど)を両面同時に高能率・高品位に平坦化加工する次世代型CMP技術の構築を目指すものである. 本年度は、試作した密閉耐圧型CMP装置の運動機構について解析して,均一平滑平坦化を得るための相対運動条件を明らかにした.この条件を基にして,単結晶シリコンウエハを用いて試作装置の加工特性を把握しつつ装置の動作特性を調べたところ、所期の運動機構であることを確認した.さらにSiウエハを用いて常圧大気中での装置の基本特性,および種々の高圧ガスを導入した時の効果について比較検討を行い、以下の結果を得た. 1) 試作装置の常圧大気中での加工レートは,上下定盤の回転速度比ではなく回転速度差に依存する. 2) 機械的作用の弱い(低加重・低回転速度など)条件下では加工雰囲気の影響はほとんど現れない. 3) 高圧酸素ガス中でSiウエハのCMPを行った結果,加工レートが増加することが確認できた.特に,機械的作用が強い条件下(高荷重・高回転速度)で酸素ガスの影響が強く発現することが分かった. 以上の結果を踏まえて、今後は酸素をはじめとする各種の雰囲気下でのCMPに着目し,活性酸素を発生する光触媒反応を援用することも視野に入れて難加工材料の加工研究を進める.また、電界複合ポリシングの可能性についても検討する。そして、最終的には、次世代型加工装置として提案していく。
|