研究概要 |
本研究では,フォトファブリケーションを基盤とする微細加工技術を駆使して,マイクロ流路と流体制御機能を有するマイクロ流体チップを製作し,この内部で多点光トラップと高速レーザ走査により個々の細胞や機能性マイクロツールを操作し,チップ内部の環境を制御することで生じる細胞の変化をナノオーダーの空間分解能で計測することが可能な単一細胞レベルの操作・観察・計測システムの基盤技術に関する研究を推進した.具体的には,(1)チップ内のpH,温度を計測するための機能性マイクロツールを均一サイズで造形する機能を有するマイクロ流体チップを設計,製作した.大きさの異なるマイクロツールをサイズごとに分離することが可能となった.(2)マイクロツールのサイズをナノオーダーに小型化して,空間分解能の向上を実現した.また,画像処理システム,キャリブレーションシステムを構築してセンサの評価を行った.(3)フォトファブリケーションにより,テザードマイクロツールの加工を実現した.また,マイクロビーズのアセンブリ手法を提案し,チップ内部で複数のマイクロビーズを連結することに成功した.(4)光ピンセットによる操作システムの制御系を構築し,光トラップされた対象物の安定な軌道制御,力制御系を構築した.また,画像処理システムと組み合わせて,バイラテラルな操作システムを組み込み,リアルタイムで力計測ができる機能を実現した.(5)さらに,上記システムでナノサイズのツール操作に成功した.(6)浸透圧変化による細胞の容量変化の計測と評価実験を行い,評価結果をまとめた.(7)浸透圧変化による細胞の計測・評価として,チップ内のマイクロチャンバーにサンプル細胞を投入し,浸透圧変化による細胞の変化を画像計測した.また,狭い流路に細胞を流して細胞に加わるストレスの影響を調査するためのチップを設計試作した.
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