研究概要 |
手指の内部変形の計測に関しては,MRIの撮像範囲と解像度を調整することにより,画質の向上を図った.二枚の三次元画像から特徴点を抽出し,三次元画像間で特徴点の対応を求める手法として,Harrisオペレータを用いる手法とSIFTオペレータを用いる手法を試みた.Harrisオペレータを用いる手法においては,マッチングの際の探索範囲に制約を与えることにより,従来の結果より良質な対応を得ることができた.また,MR画像に対してSIFTオペレータを用いることにより,対応点を得ることができた.しかしながら,得られる対応点の個数が少ないため,相互情報量を用いた手法と組み合わせることを検討する. 軟組織の力学モデリングと変形特性の同定に関しては,非線形なレオロジー特性を有する物体の動的な変形を定式化するとともに,そのモデルパラメータを推定する手法を提案した.レオロジー変形における線形モデルでは,物体に作用する力と物体の変形形状の両方を観測値に合わせることが不可能なことを明らかにした.すなわち,力と変形形状を同時に合わせるためには,非線形モデルの導入が不可欠であることが判明した. 人の把持と物体操作のダイナミックシミュレーションに関しては,人の指先の形状を模した指先モデルを構築し,物体把持と物体操作のシミュレーションを行った.人の指先をスプライン関数で近似し,指先モデルを構築するとともに,指先と物体との接触に伴う制約存定式化した.指先のポテンシャルエネルギーを定式化するとともに,数値微分を用いて数値的に弾性力を計算し,運動方程式に組み込む手法を確立した.さらに,接触に伴うホロノミック制約とパフィアン制約を,有限要素法と制約安定化法により,運動方程式に組み込み,人の指先の形状を模した指先による物体把持と操作の動的シミュレーションを実現した.
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