画像認識では、画像中の重要な特徴を捉えこれをベクトル表現に変換するプロセスが非常に重要である。我々は方向性エッジ情報に着目し、その空間分布ヒストグラムによって特徴ベクトルを構成しているが、ここで特に重要なのはエッジ検出の際の閾値決定である。これまでローカルな輝度分布から閾値を決定していたが、画像の全体的な特徴をより的確に捉えることのできるGlobal閾値アルゴリズムを新たに提案した。これは、Object trackingのように、画像のディテイルよりは全体的な特徴に着目した方が有利な応用に適している。この処理では、各ピクセル毎にフィルタ演算を行ったすべての結果に対しソーティングを行う必要があるため大変計算コストが高い。我々はDPS(Digital Pixel Sensor)を用いて毎秒1000フレームで処理できる専用プロセッサチップを開発、動作確認を終えた。本チップは、画像中の重要な特徴だけを自動的に選別できる機能を持っている。Object trackingに関しては、Multiple candidate generation法を開発、VLSIとしての基本動作を確認した。これはtrackingの対象が途中で形を変えてもロバストに追跡することができる。また照明条件が変化しても、エッジ情報に基づいて追跡するため柔軟に対応できる。一方、大量のデータの高速学習のために、マルチチップ構成の並列学習プロセッサを提案、当初計画の3分岐方式に替わり、新たな2分岐構成のアーキテクチャの方が優れていることを見いだし、基本回路の設計を行い、チップ試作によって動作を確認した。この方式ではハードウェア量の削減と同時に高速化が実現でき、しかも同じチップを次々と接続していくことでいくらでもスケールアップできるという特徴を持っている。
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