研究概要 |
本年度の研究は,平成23年度への繰り越しを行い,本研究のコアであるK-means学習プロセッサの機能に「初期値の自動設定」,「最適prototype数の自動決定」,「認識処理」の三つの新機能を追加した。さらに学習機能のVLSIチップ搭載に関して,独自のアナログ回路でガウシアン特性を実現し,ガウシアンカーネルのSVM(Support Vector Machine)プロセッサを完成させた。全並列の学習が可能で,1μ秒以下での実時間学習を実証した。これは世界で初めての成果である。また,Nearest Neighbor Classifierでは,境界強化学習法という新たなアルゴリズムを提案,記憶すべきデータを大幅に減少させるとともに,認識性能もあげられることを見出した。これらは,大変有用な研究成果である。また,実際の認識処理に関しては,海岸・山岳・市街地・高速道路といった7種類の風景の認識を約80%の精度で実現した。また,人間の動作を認識するaction recognitionについても,高い認識率を得た。また,静止画で,dogとduckを見分けるアルゴリズムも開発した。これは,一口にdogといっても,様々な種類があり,また同じ犬でも様々なポーズをとるが,これらのvariationには影響されずに,dogとduckを見分けられることを示した。ただし,この研究では背景はマニュアルで除去したが,画像の中から対象物だけを背景から切り出すアルゴリズムも開発した。ここでは,先験的な知識を全く用いないで対象物の切り出しを行うため,入力画像そのものを学習することによって背景と対象物の区別を行う。この処理は,本研究で開発した実時間学習プロセッサを用いて行う。
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