研究課題/領域番号 |
20246060
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
田部 道晴 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (80262799)
|
研究分担者 |
池田 浩也 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (00262882)
猪川 洋 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (50393757)
佐藤 弘明 静岡大学, 電子工学研究所, 助教 (00380113)
|
キーワード | 少数電子素子 / 電子デバイス・機器 / 半導体超微細化 / シリコン |
研究概要 |
ナノメータ領域のシリコンデバイスは、ドーパントの個数や配置のばらつきがデバイス特性を左右するため、これを克服するデバイス原理の提案が必要である。本研究は、ランダムに配置された少数個のドーパントのポテンシャル場を利用することにより、1ゲートパルスあたり1個の電子を転送する単電子転送デバイスの開発を目指すものであり、新原理シリコンナノデバイスの開発を目的とする。昨年度は、上記目的に向けて以下の成果を得た。 (1)ランダム系の単電子転送機能 これまで、PドープSOI-MOSFETはランダムな配置にも関わらず、単電子転送機能をもつことを示してきた。今回、少数個のPドナーによる3ドット系FETを抽出し、Vbgにより接合容量のばらつき(クーロンダイヤモンドの重なりに対応)を調節して単電子転送機能を実現した。さらに、シミュレーションにより、ゲート容量のばらつきに加えて接合容量パラメータのばらつきの効果を詳しく調べた。 (2)PとB同時ドーピングの効果 個々のドーパントのポテンシャルを用いた単電子デバイスは、ポテンシャル井戸が40meV前後と浅いため、PとBの同時ドーピングによって井戸深さを実効的に高める方法を提案している。H21年度は、PとBのドーピング順序に依存してチャネル深さ方向の分布が大きく変わることを見出した。これは、PとBの相互作用の存在を示しており、今後の研究に明るい見通しを得た。 (3)低温KFMによる単一電子の観測 上記のようなドーパントポテンシャルを利用したFETの研究を進展させるためには、実際にチャネル中の個々のドーパントと電子トラップ状態を測定する手法を確立する必要がある。我々は、これまで単一PおよびBイオンの観測に成功した。21年度は、チャネルに電流を流し、Pドナーに電子がトラップされた状態を観測することができた。
|