研究概要 |
遺伝子情報解析をベースとした小型・可搬型診断・検査装置への応用に向けて、ラベルフリーで電気的にDNA配列を検出するバイオCMOS集積回路の方式を検討した。集積化に適した構造として拡張ゲート型MOSFET(金属-酸化膜-半導体・電界効果型トランジスタ)、集積化に適した回路として新しいソース・ドレイン・フォロワ回路を提案した。回路を設計し、1.2um標準CMOSプロセスを用いて試作を行い、溶液中での検出実験を行った。チップは32x32個のセンサからなるバイオ・センサ・アレイ・チップで、1,024のDNAのハイブリダイゼーション信号を1秒間隔で読むことができる。チップにはXYデコーダ、マルチプレクサの周辺回路を内蔵し、入出力信号線は10本(電源2本、アドレス線5本、行アクセス・ストローブ、列・アクセス・ストローブ、検出信号出力線)の最小数となるように構成した。試作チップを測定したところ、10nW/センサの超低消費電力、80umx100um/センサの高密度、2mV,10^<-5>V/℃の高精度を実証した。同チップ表面に溶液を供給する電気化学セルを設け、リン酸バッファ液中でDNAの吸着とハイブリダイゼーションの空間分布を時間発展過程として検出することに成功し、これによりバイオアッセイへの応用展開の可能性を示した。一方、バイオ反応の一様性の確保、信号の長時間ドリフト等の課題が明らかになり、その解決に向けた研究にとりかかった。
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