研究課題
当該年度は、受信機の広帯域化・高感度化に着手し、さらに初年度から進めてきたフォトダィオードァレー型送信機の集積実装技術の開発を行った。まず、受信機に関しては、試作したショットキーバリアダイオード素子のモデリングを行い、その特性から所望のビットレートを得るための最小受信電力を理論的に見積もった。その結果、雑音が白色雑音のみと仮定した場合、ダイオードに与えられる電力が、10~50μWレベルでも10Gb/s以上のビットレートが得られることが明らかになった。本結果をもとに、平面アンテナタイプの受信機と、ホーンアンテナ(導波管)タイプの2種類の受信機を開発し、先に開発した送信機を組み合わせて無線伝送実験を行った。いずれの受信機でも300GHz帯において世界最高の12.5Gb/sのエラーフリー伝送を達成した。また、試作した送受信機ともに300~400GHzの超広帯域で動作することを利用して、その周波数帯域の全域にわたり、わずか5~10μWの低受信電力で、1Gbit/sのエラーフリー伝送が可能であることを示し、300~400GHzでキャリア周波数を自由に変えるマルチチャネル無線の可能性を世界で始めて実証した。さらに、送受信機の低雑音性、高感度性を利用して、送信機の光電変換素子(フォトダイオード)と受信機のショットキーバリアダイオードの双方を1.5Gbit/sにおいて無バイアス(電源フリー)で動作させることに成功した。以上、300GHz帯無線技術として、最高速度性能、マルチチャネル動作、電源フリー動作に成功し、世界的にも注目される大きな成果を得ることができた。
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