研究課題
当該年度は最終年度として、当初の目標であった、1.20Gbit/sの無線伝送、ならびに、2.出力合成型フォトダイオードを送信機に用いた無線伝送の2つの実験的検証に注力した。まず、1.については、受信系のベースバンド帯域の拡大を図った。伝送後のアイダイヤグラムによる評価から、300GHz帯において世界最高速度の20Gbit/sまでの無線伝送が可能であることを実証した。尚、ビット誤り率(BER)の測定については、BER評価装置のリミットにより、16Gbit/sまでのエラーフリー伝送を確認できたが、20Gbit/sにおいてもエラーフリーが実現できる見込みである。次に、2.のフォトダイオードアレイの出力をチップ上で合成するアプローチで送信機の高出力化を図るという計画については、2個のフォトダイオードの出力を合成するモジュールを試作し実験を行った。その結果、300GHzで約1mWの出力を得ることに成功し、さらにこの出力合成モジュールを用いて、無線伝送距離約1mで10Gbit/sまでのエラーフリー伝送までを確認した。出力パワーとしては50倍以上の余裕があり、ベースバンド帯域がさらに改善されれば、40Gbit/sまで実現できる見通しが得られた。以上、3年間の研究開発を通して、所期の目標どおり、300GHz帯無線で20Gbit/sを超える伝送特性が実現できることを示し、また、伝送速度の向上、伝送距離の長尺化に不可欠な高出力化の一手法として、出力合成が有効であることを実証した。本研究は、世界的に300GHz帯無線に対する関心が高まり研究開発が立ちあがるフェーズにタイムリーに同期し、常にこの分野でリーダシップを発揮することができた。
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