研究概要 |
(1) 分散ネットワークにおいて適応電力・レート制御を行う場合,それが収束するとは限らず,また自局のスループットを最大化しようとすると他局へ深刻な干渉を及ぼす可能性がある.そこで,自局のスループットに加え,他局への与干渉による他局のスループット減少を考慮して電力およびレートの適応制御を行う方式ETA-MADPアルゴリズムを提案し,その収束性を確認した. (2) 一般に無線ネットワークにおいてネットワークスループットを最大化しようとすると,チャネル利得が高い通信に優先的に送信権を与えることとなり,公平性が損なわれる.そこで,ゲーム理論におけるナッシュ交渉解を用いたチャネル・経路選択法を提案し,これを用いることにより,公平性を向上できることを確認した. (3) マルチホップネットワークにおける,分散協調通信の適用に伴うスループット向上効果を,解析的に明らかとした.特に干渉制限下での2ホップ(1中継)に限れば,エンドツーエンドの距離の増大に伴い,最大のスループットが得られる方式は,直接通信,協調通信,マルチホップ通信の順に変化することを明らかとした. (4) ITS車車間通信への適用を念頭に置き,一般に知られている予約型メディアアクセス方式の拡張を行った.具体的には受信電力とタイムスロット予約状況から他局への与干渉を推定し,タイムスロットの再利用を密に行う方式であり,計算機シミュレーションにより有効に再利用が行えることを確認した.
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