研究概要 |
自律分散制御無線ネットワークは,無線通信チップ搭載機器が溢れ遍在する次世代情報通信ネットワークにおいて必要不可欠な構成要素となる.したがって,その基本特性の解明並びに所望のQoS(Quality of Service)を満たす効率的なネットワーク構築手法の確立は喫緊の課題である.平成21年度の主たる研究成果は次の通りである. (1)双方向協力通信では,送信方向毎に容量が異なる非対称性が存在することを明らかにした.また,送信方向毎の発生トラフィックに応じて中継局を切り替えることで高いスループットが実現できることを示し,高スループット実現のための中継局選択法を提案した. (2)複数の無線局による連携送信を単純に利用すると,他局干渉が増大する可能性がある.これを防ぐチャネル再割り当て方式を提案した.特に本方式を利用することで,FFR(Fractional Frequency Reuse)を行うセルラシステムにおいて,システム容量を増大可能であることを確認した. (3)既存のアドホックネットワーク向けのチャネル割り当て法を拡張し,指向性アンテナのビームパターンの選択を同時に行う分散制御方式を提案した.本方式の利用によりアドホックネットワークのような分散制御環境であっても容量が増大することを示した. (4)既存システムに深刻な影響を及ぼさないような制御のもと,既存システムと同じ周波数帯域を用いて新規通信システムを導入する帯域共有システムのための協力検出を実装し,屋外伝送実験を通して実環境での協力検出の有効性を確認した.
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