研究課題
自律分散無線ネットワークは、無線通信チップ搭載機器が溢れ遍在する次世代情報通信ネットワークにおいて必要不可欠な構成要素となる。従って、その基本特性の解明並びに所望のQoSを満たす効率的なネットワーク構築手法の確立は喫緊の課題である。平成23年度の主たる成果は次の通りである。(1)FDRおよびHDRを用いるマルチユーザ送信スケジューリング法中継通信において発呼局と中継局が同時送信を行うFDR(全二重中継)においては、別の直交リソースを用いるHDR(半二重中継)と組み合わせることで高い通信容量が実現される。これをマルチユーザ通信に拡張することで、システムとして高い周波数利用効率を実現することを示した。(2)非対称双方向マルチホップ網向けスケジューリング法スループット向上手法としてネットワーク符号化(NC)が知られている。しかしながら非対称なトラピック比率の双方向マルチホップ網には適さない。そこで、NCに加えて向きが異なる2種類の協力中継を合わせた3手法の中から適応的に選択利用する新たなスケジューリング法を提案し、双方向トラピック比率が非対称な場合にも有効であることを示した。(3)コグニティブ無線やヘテロジニアスネットワークへの展開コグニティブ無線とは、既存システムに深刻な影響を及ぼさないような制御のもと、既存システムと同じ周波数帯域を用いて新規通信システムを導入する概念である。ヘテロジニアスネットワークとは、セルラにおけるマクロセルとフェムトセルのように、大きく特徴の異なる無線局が混在するシステムである。これらのネットワークに進化ゲームやポテンシャルゲームを応用したアクセス制御方式を提案し、効果を確認した。(4)伝送実験の実施ソフトウェア無線装置USRPを用いて自律分散制御無線ネットワークの伝送実験を京都市街で行った。これにより総合的な伝送特性の測定を行い、時空符号化協力中継の効果を実験的に確認した。
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IEICE Transactions on Communications
巻: E95-B ページ: 1751-1760
10.1587/transcom.E95.B.1751
巻: vol.E94-B, no.8 ページ: 2225-2234
DOI:10.1587/transcom.E94.B.2225
http://www.dco.cce.i.kyoto-u.ac.jp/ja/modules/project1/kiban08a.html