研究課題
本年度は、ハイパースペクトル画像から得られる各種対象物の情報を、1.農林業リモートセンシング、2.腹腔鏡下手術等の医療、3.社会の安全・安心に役立てるための情報処理技術について研究を進めた。1の農林業リモートセンシングでは、(財)資源・環境観測解析センターの協力を得て、撮影された山形県庄内地域の水稲圃場および山間部の航空機ハイパースペクトル画像と、この観測に同期して実施した現地調査データの解析を行い、水稲については、葉面積指数を推定するのに有効な波長間演算方式および、いもち病の被害程度をハイパースコペクトル画像から推定するのに有効な演算方式を提案し、有効性を実証した。また、山形県下で被害の拡大しているナラ枯れに伴う水分ストレスを、短波長赤外ハイパースペクトル画像から抽出するのに有効な波長帯の選択をおこなった。2.の腹腔鏡下手術等の医療応用では、東京医科歯科大学の協力のもとでブタの血管・内臓のハイパースペクトル画像撮影を行い、赤外ハイパースペクトル情報を有効活用することで、血管や各種臓器の分類や、組織の虚血状態の検出を容易に実現できることを明らかにした。このように、スペクトル情報のみで対象臓器・血管等を判別する方式は、腹腔鏡下手術のように、視野が限定された手術作業空間の中での作業効率の改善に寄与するものと思われる。3.の安全・安心分野での応用については、山間部の防災という観点から、スペクトル情報を用いて斜面崩壊の検出や土壌水分の推定を行い、検出結果を時空間情報処理システム上に反映させる方式の開発を進めた。また、都市部の街路での移動体の衝突防止という観点から、赤外スペクトル情報を用いた路上障害物の認識アルゴリズムの検討を行い、5波長程度で、実用性の高い認識処理が可能なことを示した。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件)
写真測量とリモートセンシング vol.48, No.6
ページ: 338-347
Asian Journal of Geoinformatics Vo.9, No.4
ページ: 45-49
International Journal of Functional Informatics and Personalized Medicine ; Special Issue on Imaging Informatics for Personalized Medicine Vol.2, No.2
ページ: 201-216
Recent Advances in Biomedical Engineering (Chap.12) "Hyperspectral Imaging : a New Modality in Surgery"(In-Tech pub.Croatia)
ページ: 223-240