研究課題
本研究は、単一磁束量子デジタル/アナログ変換器と誘導分圧器を主構成要素とする量子交流電圧標準のシステムの開発を目標とする。平成22年度には以下の成果を得た。デジタル/アナログ変換器の開発においては、前年度に引き続いて超伝導工学研究所(SRL)との共通プロセスの高度化を進め、セルライブラリを開発した。これを用いて前年度に提案した1ビットパルス密度変調方式の基本構成要素となる可変パルス数増倍回路の開発を行った。電気通信大学との共同研究によりセルベース方式で設計した8倍可変パルス数増倍回路を産総研/SRL共通プロセスにより試作し、正常動作を確認した。さらに、必要素子量が少ない新回路方式を考案し、64倍可変パルス数増倍回路を設計、試作、評価し、正常動作の確認に成功した。この結果に基づき、12ビットデジタル/アナログ変換器を設計し、出力電圧波形精度を詳細に評価した。精度評価の課程において、デルタシグマ変調方式をマルチビット化する新変調方式を発案し、これによりさらに高い精度が期待できることを見出した。誘導分圧器の開発においては、誘導分圧器システムによる市販高精度電源(キャリブレーター)の出力電圧とジョセフソン素子の出力電圧の比較では、デジタル/アナログ変換器の開発が予定より遅れたため、定量的誤差の測定には至らなかったが、フィルターなどの周辺回路を整備し交流インピーダンス標準に応用可能な高い精度を有するシステムの開発に成功した。一方、東京都市大学との連携で前述のマルチビットデルタシグマ変調方式の精度を定量的に計算した結果、交流電圧標準応用において画期的な精度向上が可能であることが明らかになった。動作原理実証実験のための測定機器などを整備し、この方式によるデジタル/アナログ変換器の特許出願を準備している。
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Physica C : Superconductivity
巻: (掲載確定)
Journal of Physics Conference Series
巻: Vol.234(Web) ページ: 042020-1-042020-7
巻: Vol.234(Web) ページ: 042037-1-042037-5
電子情報通信学会技術研究報告
巻: Vol.110 No.139 ページ: 25-30
巻: Vol.110 No.235 ページ: 37-42