研究課題
本研究の目的は、公共調達の基本システム全体を見直し、その再構築を図るために、Value for Money(VFM)向上を目指した基本システムの提案とその運用に必要な分析手法を開発することである。平成20年度は、下記を実施した。(1)公共調達制度と社会的要請の関係の明確化公共調達のプロセスの中で関連している諸法令の整理を行い、調達前、契約中、契約完了後のそれぞれに関連する諸法令に分類した。現在の制度がそれぞれどのような時代背景の下で、どのような対象に対して何を目的として制定されたかを歴史的にさかのぼり明らかにした。公共調達における政策目標である「価値の高い調達の実現」(VFMの向上)は、コストの低減、品質の確保、タイムリー、プロセスの公正さで計測される。しかし、個々の制度とこれらの関係は単純ではなく、関連するアクターの資質や意識によっても、大きな影響を受ける。そこで、昭和期からの時代の流れの中で、公共調達に関連する制度の変化とそれぞれの時代で発生する社会的要請に基づき、これらの関係を俯瞰的に分析評価するために、国における公共事業の実施状況、特に契約の運用状況の変化について、文献等とインタビューによって情報収集した。(2)諸外国の公共調達制度との比較分析のための調査求められる公共サービスやその形態が変化するのに伴い、事業の量と質が変化することが予想される。将来求められる公共事業のスキームと必要な調達方式の可能性を予測するため、諸外国の公共調達制度の調査を実施した。調査対象とした国は、ベトナム・フィリピン・香港・インド・アルジェリアである。
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