研究概要 |
内陸型大地震において生じる断層変位によって上部の堆積地盤でも大きな変位が生じ,これを横切る地中埋設物等,地中構造物が大きな被害を受ける.このような被害を防ぐために,断層変位を受ける地盤の動きを予測し,その地盤変位と地中構造物の相互作用の理解が必要である.本研究では,遠心模型実験により断層変位にともなう地盤の相対変位を再現し,埋設管の挙動を調べた. 本年度は昨年度作成した遠心模型実験用断層シミュレータを用いて,豊浦砂地盤中のステンレス製埋設管模型に対して,遠心加速度50gで断層変位を毎m分2mの速度で与えた。埋設管模型はガス導管程度の剛性を想定しており,管には曲げモーメント計測用のひずみゲージを貼付した。実験中の地盤の変形状況を観測するために,観測用ガラス面近傍のみ色砂を用い層状のパターンを作った。変形は容器全面に地盤変位解析用のデジタルビデオカメラで計測した。実験ケースは逆断層2ケース,正断層1ケースである。逆断層のケースでは,土被り厚40mm(原型寸法2m)で一般的なガス導管径に近い場合と,土被り130mmにさらに上載圧490kPaを与え,大きな土被り圧(およそ30m)を想定した2ケースを行った。正断層ケースでは,土被り厚40mmとしている。以上の実験から,以下の結論を得た。 ・逆断層の場合,不同沈下幅は上部に行くに従い直線的に増加する,一方,正断層の不同沈下幅は,地盤上部でもそれほど大きくならず,逆断層に比べると幅は著しく小さくなる. ・地盤剛性に対する管の相対剛性が小さい場合,変形の及ぶ範囲は狭いが,管には大きなモーメント、曲げ変形が生じる. ・相対沈下の幅が狭い場合,同じ土被り圧であっても管には局所的なモーメントが生じ,破壊を生じる可能性が高くなる.
|