研究概要 |
本研究では,メタンハイドレートが分解されることに焦点を当て,分解されることによって,地盤がどのように変形するのか,分解されたメタンガスがどのように地盤中を移動するのかを実験的・解析的に明らかにし,地盤の安定性やメタンガスの生産性の評価に役立てる. 地盤の変形やメタンガスの移動がどうなるかが,非常に重要になってくるため,本研究において,メタンハイドレート堆積地盤が可視化できる模型実験装置を開発した.その開発した模型実験装置において実験を行い,一般的な力学挙動を取得できること,PIV画像解析手法を適用することにより,画像により局所変形が捉えられることを明らかにした.また,画像解析から,MH堆積土の方が豊浦砂よりもひずみの局所化が早いひずみレベルから生じていることが確認された.せん断帯が発生しない箇所は供試体全体と同様な収縮傾向を示す一方,せん断帯付近ではせん断帯の形成とともに体積膨張が顕著に起こることが確認された.これらのことから,体積膨張により透気性が高まり,メタンガスの移動が起こりやすくなる.この現象がMHの生産井付近で発生すると生産効率の上昇につながることが考えられる一方,メタンガスの漏洩のリスクが高まることも示唆された. 開発したFEM解析コードを用いて,MH生産時に想定される地盤の長期の変形予測を行った.その結果,減圧源付近で収縮挙動が著しく,坑井直上の地盤沈下が最も大きいことが明らかとなった.さらに,MH堆積層と上部堆積層との境界面に最も大きなせん断ひずみが発生することが確認された.本研究より,減圧法の適用によるMH濃集層の変形は減圧源の違いによって大きく異なることが示唆された.
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