研究分担者 |
堤 裕明 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (50197737)
松永 信博 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (50157335)
橋本 典明 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90371749)
中村 武弘 長崎大学, 環境科学部, 教授 (70039692)
多田 彰秀 長崎大学, 工学部, 教授 (90144328)
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研究概要 |
近年の日本の沿岸海域では水質や底質環境の悪化が著しく,水産資源の減少が深刻な問題となっている.このような背景から,海域環境の再生は喫緊のテーマとなっており,海域環境を改善・再生していく新たなコンセプトと技術が必要となっている.当研究グループは流況制御ブロック,BaNKシステム,One-way pipe,Eco-Bio Block(:EBB)といった比較的小規模な構造物を海域に適用する技術を実用化することによって,沿岸海域環境の改善を目指している.ここでは,BaNKシステムとEBBに関して得られた平成20年度の研究成果を概説する. BaNKシステムは,波浪場に非対称形状を有する構造物を複数個設置することにより,海底付近に波の一周期平均的な一方向流れ(以後,残差流)を発生させ,底質移動の制御を可能とするものである.本システムについては,これまで規則波を対象にした実験や数値シミュレーション等でその有効性が検討されてきた.そこで平成20年度は,2次元不規則波浪場を対象に本技術の有効性を実験的に検討した.その結果,規則波の場合と同様に,不規則波浪場においてもブロックの3倍程度の高さまで意図した方向に強い残差流が生成されることが分かった. EBBは,納豆菌群を封入したポーラスブロックにより有機物分解とアンモニア態窒素の酸化を促進させることで,富栄養状態が進んだ水域の水質浄化を図る技術である.従来は淡水域を主な対象としてきたEBBの海域への適用を目指して,平成20年度は試料水に淡水と海水を用いて,EBBによる有機物分解能力および硝化能力を比較検討した.その結果,海水におけるEBBの有機物分解,硝化能力は高く,閉鎖性水域の水質改善や干潟底泥の改善など沿岸域の水質浄化においてもEBBの利用が十分に期待できることが分かった.
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