研究課題/領域番号 |
20246087
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
関根 雅彦 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30163108)
|
研究分担者 |
渡部 守義 明石工業高等専門学校, 都市システム工学科, 助教 (00390477)
浜口 昌巳 (独)水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所, 藻場・干潟環境研究室長 (60371960)
|
キーワード | ナルトビエイ / 二枚貝 / 食害防除 / 水中音響 / 食害検出 / 電撃パルス |
研究概要 |
本研究の目的は、我が国の二枚貝に大きな被害を与えているとされ、干潟環境の保全・再生の陳害ともなっているナルトビエイ等の食害を、貝殻の破砕により発生する水中音響により検出・防除するシステムを開発することである。20年度は以下の4項目につき研究を実施した。 (1)バッテリ駆動の撮像機能付き食害検出装置を制作した。(2)上記装置を山口湾中潟・南潟に設置し、8月末より10月末まで実海域における二枚貝の食害時の摂食音の採取を行った。ナルトビエイのほか、ガザミやクロダイによる食害音を採取できた。クロダイはナルトビエイの進入を妨害することを目的として設置された竹柵に付着したフジツボなどを摂食するために来遊し、偶然アサリを発見しているように見えるなど、付加的ではあるが興味深い知見が得られた。(3)上記データを用いて、二枚貝の食害時の摂食音を検出するアルゴリズムを検討した。クロダイによる食害音はナルトビエイによる食害音と類似性が高いこと、これまでのアルゴリズムでは実海域での環境騒音も食害音として検出される場合があることなどが判明した。新たにショット継続時間を判定項目に加えるなどのアルゴリズム改良を行った。(4)アサリ生残率を指標として食害生物忌避装置の電撃パルス放出聞隔の最適化を検討した。その結果、パルス放出問隔が従来より長くてもよいこと、電撃パルスが継続的に放出される場合には忌避効果が低下する可能性が示唆された。この結果は、実際にナルトビエイが来遊した時だけ電撃パルスを放出することで忌避効果を維持できることを示しており、本研究により完成を目指す水中音響による食害検出システムを、防除システムのトリガーとして使用することの有効性が確認された。
|