研究課題/領域番号 |
20246087
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
関根 雅彦 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30163108)
|
研究分担者 |
渡部 守義 明石工業高等専門学校, 都市システム工学科, 助教 (00390477)
浜口 昌已 (独)水産総合研究センター, 瀬戸内海区水産研究所, 藻場・干潟環境研究室長 (60371960)
|
キーワード | ナルトビエイ / 二枚貝 / 食害防除 / 水中音響 / 食害検出 / 電撃パルス |
研究概要 |
本研究の目的は、我が国の二枚貝に大きな被害を与えているとされ、干潟環境の保全・再生の障害ともなっているナルトビエイ等の食害を、貝殻の破砕により発生する水中音響により検出・防除するシステムを開発することである。21年度は以下の4項目にっき研究を実施した。 (1)ナルトビエイやその他の食害生物、背景音について、山口湾の現場および、山口県水産研究センター内海部の海水プールで畜養したナルトビエイを用いて十分な数のデータを採取した。(2)(1)で得られたデータを用いて食害音検出アルゴリズムの改善を行い、20年度には成功していなかったクロダイの食害音の影響の除去を可能とした。降雨音および潮位が低い時の波浪音による誤作動が課題として残った。(3)食害音によるトリガー装置を開発し、電撃装置と組み合わせたナルトビエイ防除システムを制作した。(4)ナルトビエイ防除システムを用い、150m海水プールでの忌避実験に成功した。海水プールに体盤幅85cm~112cmのナルトビエイ5尾を1日あたり5kg(アサリ殻つき重量)の不十分な餌量で蓄養し、プール内の2m×2mの方形区の4隅にパルス発生電極を設置し、方形区の中央に2kgのアサリを散布してビデオ撮影により経過を観察した。複数のナルトビエイが10数分で摂食行動を起こし、装置が作動して忌避する様子が観察された。100m離れた位置に設置した対照区では3時間以内にほぼ全量が食害を受けたが、保護区では断続的に食害を受けながらも6時間後も15%程度のアサリが生残した。また、電気パルス発生装置の作動時間を40%に短縮できた。 他に餌料の存在しない閉鎖された空間での少量のアサリを用いた実験であるため、アサリの生残率や作動時間の短縮率は満足いくものとは言えないが、他に選択できる餌料の存在する実水域ではより大きな保護効果が期待できる。
|