研究概要 |
中低層RC造建物の耐震補強を目的に極脆性柱の靭性型補強から始まって,2次壁(腰壁や袖壁など)付き柱や耐震壁の強度・靭性型補強,そしてピロティフレームや壁抜け層を対象に,極厚無筋壁(袖壁と無開口壁)による強度・靭性型補強法を提案してきた。これらの研究から,発泡スチロール等を用いて極厚無筋壁における壁厚のスリム化,あと施工アンカー無し(無開口壁では脚部のみ必要)で既存フレームとの一体化を可能にした極厚無筋壁の応用としてコンクリートブロック壁(CB壁)の耐震補強,簡便な枠付き鉄骨ブレース補強などの新規課題を解決する。加えて,本研究の成果である緊張力導入による能動的横拘束効果を利用して,地震被災直後の中低層RC造建物を対象にした簡便な応急(緊急)補強法を提案する。本課題の解決すべき主な研究テーマは以下である。 (1)研究代表者が提案した極厚無筋壁補強法の壁厚をスリム化すること。 (2)枠付き鉄骨ブレースを既存RCフレームに簡単に接合する方法を提案すること。 (3)地震被災直後のせん断損傷RC柱への簡便・迅速・安価な応急(緊急)補強法を提案すること。 (4)付着劣化させたキャンティレバー型の付着要素試験体を用いて応急補強前と後の付着性能を検証すること。 (5)せん断損傷した柱梁接合部の応急補強法の検証を行うこと。 本研究の目的は今までの研究成果の延長線上に中低層RC 造建物を対象に緊張力導入による能動的横拘束効果と,壁やブレースにあっては既存フレームとの一体化を特色とする震前・震後の簡便な耐震補強法を提案し,ほぼ15年間継続・発展させてきた一連の研究を完結させることにある。
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