研究課題/領域番号 |
20246104
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐々木 一成 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80322296)
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研究分担者 |
伊藤 衡平 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10283491)
白鳥 祐介 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (00420597)
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キーワード | 燃料電池 / 水素 / 触媒・化学プロセス / セラミックス / 無機工業化学 / 酸化スズ / 電極触媒 |
研究概要 |
本研究においては、革新的な高性能高耐久性の固体高分子形燃料電池の開発を目指して、当研究室オリジナルの研究成果である酸化物半導体や炭素ナノ繊維に担持した電極触媒を出発材料として、電気化学的安定性および形状安定性を付与した理想的なナノネットワーク構造を有する電極触媒材料を開発するとともに、その電子・イオン・ガス輸送パス設計と高耐久化に向けた材料設計指針を確立することを目指している。近年、カソード電極側においては、カーボンブラック担体の酸化による腐食の克服が、耐久性向上のために重要になってきている。そのため、特に、耐酸化性を有する酸化物そのものを担体として用いる研究を行い、導電性酸化物を用いた「カーボンフリー電極触媒」の開発と高性能化を目指している。具体的には、(1)電子・イオン・ガス輸送パスの最適材料設計、(2)高耐久性材料群の探索、(3)高耐久性担体材料の研究、(4)高耐久性触媒材料の研究、(5)材料設計指針の確立と体系化に取り組むことを目的としている。 平成20年度は、酸化物半導体として知られるSnO_2を担体材料とした電極触媒の開発に成功し、酸化スズにドナーをドープすることによって、触媒の性能向上が図れることを示すことができた。逆に、アクセプタードープでは触媒活性が失われることもわかった。触媒の調製条件も最適化し、適度に凝集した担体材料の作製ができるようになった。特に、既存材料で問題となる燃料電池起動停止や発電出力変動に伴う電圧変動サイクルに対する耐久性を実測したところ、既存材料は1.3Vまでの3000サイクル程度で活性を失うのに対し、SnO_2担持触媒では10000サイクルでも大部分の触媒活性が維持される画期的な成果を得ることができた。また、既存のカーボンブラック担持白金触媒に迫る触媒活性を得ることができた。学会でも高く評価され、3月末に開催された第76回電気化学会で燃料電池分野のポスター発表賞を受賞することができた。
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