医療機器への生体物質の付着・吸着は、材料の機能性を著しく低下させるばかりでなく、ときに患者の生命を危険にさらす場合がある。したがって医療機器の開発においては、何処に「汚れ」の付着しない表面を構築するかが重要となる。本研究では、この生体由来の「汚れ」としてたんぱく質に着目し、たんぱく質の吸着反応に対し、不活性な表面の構築を目指す。この目的を達成するために、我々は(1)様々なたんぱく質の合成を行い、得られたたんぱく質のアミノ酸配列と物理化学的特性(ゼータ電位、会合係数、水への溶解度、吸着平衡定数など)との相関関係を明らかにする。これにより、たんぱく質の一次構造からその特性を予測できるようになる。さらに(2)(1)で得られた構造一物性相関マップを利用し、たんぱく質不活性表面の構築を行う。ここでは、材料表面の表面自由エネルギーの効果と表面形状の効果を検討する。本研究によりたんぱく質吸着の原理原則を解明し、普遍的な生体物質不活性表面の構築を実現する。
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