研究課題
これまで3年間、以下のような計画で研究を行った。平成20年度:高分解能透過電子顕微鏡用スロースキャンCCDカメラの更新、パルス・マイクロプラズマ・クラスター源の導入、クラスターの接触・接合状態の様相の解明。平成21年度:異なるクラスターの成長・衝突により形成されるコアシェル構造・組織の解明。平成22年度:異種クラスター複合体の合成、コアシェル構造形成と物性の相関性の解明および強磁性合金クラスターの高密度堆積による高周波磁気特性の向上。以下に、平成22年度の実績を記する。1)異種クラスター複合体の微細構造:プラズマ・ガス凝縮法で粒径10nm以下のCrならびにNiナノクラスター複合堆積膜を作製した。400℃の低温熱処理により凝集・合金化が生じ、Crの構造が非平衡のAl5構造から安定なbcc構造に変化した。鉄鋼材上に堆積したCrとNiクラスターの複合膜は、クラスターの表面効果により低温で合金化し、また耐候性に優れていることが実験から確認された。工業的に優位な表面ステンレス化法となりうる。2)コアシェル構造形成と物性の相関性:Sn/Siコアシェルクラスター集合体は、Si組成の増加に伴い金属から半導体に変化し、金属的な試料ではbulk Snの超伝導転移温度3.7Kよりも高い温度で超伝導に転移する。p型Siのホールを媒介とする電子間相関のエキシトン型超伝導により転移温度が上昇したものと推察される。本研究はバルクでは実現不可能な機能が、ナノオーダーのヘテロ構造化により実現できることを示している。3)合金クラスターの高密度集積:Fe-Co-Ni3元合金クラスターを高密度堆積した薄膜は、飽和磁束密度1.3Wb/m2、保磁力80A/m、周波数2.4GHzで透磁率200~400という優れた高周波磁気特性を示す。
すべて 2011 2010 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (23件) 備考 (1件)
J.Nanoparticle.Res.
巻: 12 ページ: 2589-2596
Mater.Trans.
巻: 51 ページ: 1990-1996
J.Physics : Conference Series
巻: 266 ページ: 0120501-0120504
Chem.Phys.Lett.
巻: 487 ページ: 97-100
J.Appl.Phys.
巻: 108 ページ: 0539041-0539047
Trans.Mater.Res.Soc.Jpn.
巻: 35 ページ: 755-758
http://ss.emat.nitech.ac.jp/