研究課題/領域番号 |
20246112
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
安田 秀幸 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60239762)
|
研究分担者 |
吉矢 真人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (00399601)
柳楽 知也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (00379124)
|
キーワード | 凝固 / 磁気科学 / 組織制御 / 結晶配向 / 放射光 / その場観察 |
研究概要 |
本研究では、磁場を利用した凝固・結晶成長過程の材料組織制御の学理を確立することを目指している。特に、磁化率が低く、従来は磁気効果がほとんど無視されてきた常磁性体、反磁性体の組織制御の確立を含めている。以下に各研究項目について本年度の研究成果をまとめる。 (1) 磁場中凝固過程の観察技術の開発 昨年度に開発した放射光を利用した金属合金の磁場中凝固のその場観察装置を改良し、Sn合金ならびにAl-Cu合金を中心に観察を行った。Sn合金では0.4T程度の静磁場でも流動抑制効果が数10ミクロンスケールのデンドライト先端付近の物質輸送に影響していることが明らかになった。また、Al-Cu合金では、磁場の強さ、向きを変えた実験を実施し、磁気熱電効果により固液共存領域に対流が生じることを明らかにした。磁気熱電効果に関する初めての実証データと考えられる。また、定量的なモデルを構築した。次年度、熱電能データを獲得し、定量的な評価や他の合金系への適用を行うことである。また、開発した観察手法を種々の合金系に応用し、他の手法との組み合わせも試みた。 (2) 結晶成長に及ぼす磁場の影響 デンドライト成長において、過冷領域において磁場印加が成長速度に大きく影響することをFe系合金で明らかにした。特に、0.8T程度の磁場印加により0Tに比べて成長速度が1/3から1/2になることを見いだし、流動の効果が無視できないことを明らかにした。 (3) 3軸配向組織形成 本年度は、磁場による3軸配向を展開して、FeSi_2微粒子から3軸が揃った単結晶(小傾角粒界のみから形成されるバルク体)を試みた。体積分率が増加するにつれて微粒子の配向度が低下し、3軸が揃ったバルク体の作製には至らなかった。配向度を向上させるための課題は回転磁場を印加時に生じる対流であり、溶液の粘性、回転運動の調整によりより配向度の高いバルク体の作製をH23に行う。
|