本研究では、物質の磁場に対する応答を積極的に利用し、凝固・結晶成長過程において従来のプロセスでは実現できなかった規則配列組織、結晶方位配向組織、均一微細分散組織など高次の材料組織・構造を実現するため、磁気科学と凝固・結晶成長工学を融合させた「磁気凝固・結晶成長工学」と呼ぶことができる新しい工学体系の構築を目指す。 本研究の特徴には、(1)凝固・結晶成長過程の観察手法を開発し、現象の理解を行う、(2)実証的な観察に基づいて、凝固・結晶過程における磁気効果を解明する、(3)本研究で取り扱う「結晶」を原子から構成される一般的な結晶だけでなく、フォトニック結晶に代表されるような数10nm から数100nmの単一径の粒子が規則配列した結晶(以下、結晶あるいは粒子結晶)とすることである。物質の磁場に対する応答の視点から統一的に、高次の材料組織・構造の制御を目指す点においても新しい試みである。 具体的な研究項目は 磁場印加も含めて凝固過程のその場観察技術の開発ならびに粒子結晶成長の制御手法の開発 磁気効果を利用した規則組織・均一分散組織形成 結晶配向機構の実験、モデル化、シミュレーションの解明 粒子結晶(2次元、3次元)の試作と評価である。
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