研究課題/領域番号 |
20246116
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
上田 渉 北海道大学, 触媒化学研究センター, 教授 (20143654)
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研究分担者 |
竹口 竜弥 北海道大学, 触媒化学研究センター, 准教授 (30227011)
定金 正洋 広島大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10342792)
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キーワード | 金属酸化物 / 酸素八面体配位 / モレキュラーシーブ / 小分子吸着 / 結晶構造 / 無機材料合成 / 酸化-還元特性 / 触媒反応 |
研究概要 |
4族から8族の金属酸化物、複合酸化物について、ユニット合成法により酸素八面体構造モレキュラーシーブを合成し、広範に新規物質事例を示すとともに、その細孔内への小分子の吸着と活性化の化学、またその特徴を活かした触媒反応を展開することを目的に研究を遂行した。 1. 基礎構築研究として物質合成研究を重点的に遂行したことにより、新しい酸素八面体構造モレキュラーシーブ物質の合成に成功した。 ニオブ、タングステン、バナジウムなどのV族VI族を中心とした元素の酸化物、複合酸化物で酸素八面体構造モレキュラーシーブの合成を、研究室で開発した水熱合成法で展開し、全く新しい多孔性物質を見出すに至った。特にニオブの酸化物材料では表面積は予想を超えた高い物質となり、研究当初に想定していたものより細孔構造が異なるものと予想され、現在、より結晶性の高い材料へと合成を進め、また様々な角度から構造解析を進めている。 2. 酸化・還元性能を有するモリブデンとバナジウムで酸素八面体複合金属酸化物モレキュラーシーブを合成した場合の細孔サイズの構成元素の酸化状態による変化現象を基礎解明した。 通常のシリカ系のゼオライトと異なり、この酸化物はMoを主構成元素としているため、価数の変化が容易に起こる。このことを反映して、小分子の吸着が試料を酸化雰囲気で処理した時にのみ観測され、一方低原子価状態にした場合にはまったく観測されない現象が生じた。水素還元処理に伴う触媒の還元度を求め、その値に対する各種吸着物の吸着量変化を調べたところ、明らかに触媒還元の進行に伴って、吸着量が減少することが分かった。基礎的定量データを下に、水素還元により、水素原子が酸素7員環の外周囲にある酸素原子上に存在し、これが細孔径変化をもたらしたと推定した。細孔内格子中に水素原子が存在することで、吸着物性が変化すると言う、初めての事実を明確にしたもので、酸化物-水素の従来知られているブロンズ構造体と多孔体の化学の融合が期待される。
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