研究課題/領域番号 |
20246118
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三浦 孝一 京都大学, 工学研究科, 教授 (40111942)
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研究分担者 |
河瀬 元明 京都大学, 工学研究科, 教授 (60231271)
蘆田 隆一 京都大学, 工学研究科, 助教 (80402965)
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キーワード | 褐炭 / 改質 / 水熱抽出 / 水熱ガス化 / 自然発火性 / メタン / 水素 / 熱軟化溶融性 |
研究概要 |
本研究では、褐炭の高効率利用プロセスとして、水熱処理による褐炭の脱水改質、石炭の高温での抽出、さらに脱水処理水の含有有機物の水熱ガス化を合理的に結合した褐炭の水熱抽出-水熱ガス化プロセスを提案した。このプロセスは、水熱処理により褐炭を脱水、改質し、高品位炭に匹敵する石炭を得る前段プロセスと、水熱処理の際に褐炭から抽出される水溶性有機物を、我々が開発したニッケル担持炭素触媒を用いてガス化し、水素、メタンの燃料ガスに変換する後段プロセスから成る複合プロセスである。昨年度までは、前段の水熱抽出プロセス、後段の水熱ガス化プロセスについて個別に検討してきたが、本年度は、両者を同時に行う実験を実施し、提案法の妥当性を検討した。豪州産Loy Yang炭を300℃、350℃の条件で水熱抽出し、抽出物を直接触媒に接触させてガス化したところ、350℃において、改質炭が53%得られると同時に抽出物は97%がガス化され、原炭に含まれる炭素1mol当たり0.23molのメタンと0.044molの水素が発生することを明らかにした。350℃の水熱抽出-触媒水熱ガス化プロセスを通じて処理水に残留する炭素は原炭中に含まれる炭素分の約1.5%で、処理水はほとんど有機物を含まなかった。乾燥試料基準における冷ガス効率は0.97、原炭と改質炭に付着する水を考慮した場合は1.07となり、本プロセスが全体として吸熱過程であることがわかった。提案法は、350℃という比較的低温で操作でき優れた熱効率を示す上に、排水処理が不要であることから、褐炭を高効率かつクリーンにエネルギー源へ転換する方法として優れていることを明らかにした。一方、改質炭の有効利用法として、鉄鋼用コークス原料としての可能性を検討したところ、原料炭の一部を改質炭で置き換えることでガス化反応性に優れたコークスを製造できることがわかった。
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